会員のつぶやき
老いを考える時
一つの選択肢としての特別養護老人ホーム
岩城 桂子
 消費者運動を長年共にしていた友人から特養ホームの調査に協力して欲しいと依頼があった。近頃の話題は専ら"老い"の問題。最も身近なテーマでありながら具体的なことは何一つ解っていない。漠然とした考えは日ごろから持っていても、実際に介護を必要とするような状態に直面したらという切実感、緊迫感がない。一も二もなく協力を申し出たのが昨年暮。施設に直接足を運んで実態がつかめる。またとない機会を与えてくれた友に感謝の気持ちを伝えた。
 
 まず、これらの活動をしているのが4年前(1999年)に設立された「特養ホームを良くする市民の会」──本部・東京都新宿区──介護制度が始まって要介護認定を受けた高齢者は、介護サービスを利用者自身が選択し、契約する制度であるにもかかわらず、十分な情報を把握することは非常に難しい。特養ホームには情報公開が義務付けられているとはいえ、地域住民へのPRが不足しているのも事実だ。その役割を担っているのが特養ホームを良くする市民の会で、訪問調査によって蓄積されたデーターを集約、分析し、冊子にまとめて判断材料としての情報を提供している。行政に対しても具体的な提言を行うなど、その活動は意義深いものがある。
 
 死ぬまで元気に動けて、家族に囲まれてと願うのは当たり前だが、その当たり前が急速に進む少子化、超高齢化に追いついていけないのが現実でもある。その上バブルの崩壊はあらゆるところに波及し、親の面倒どころではないという例も多く聞く。私設の老人介護ホームでは高い入居金と月々数十万円の経費がかかるそうだが、そのような高額負担が出来るのはごく限られた人々であり、老後を安心して暮らせるのかという不安材料を抱えている人が大半であろう。月々6万円程度の負担で介護体制の整った特養ホームへの入居希望者が多いのも無理はない。待機者は全国で10万人とも云われているが実数はつかめていない。
 
 私は先輩に同行して、まだ5施設(東京大田区3、青梅市2)の訪問調査しか経験していないが、事前にお願いしておいたアンケートを元に、施設長や介護職員からナマの声、本音を聞く。入居者の暮らしぶりや表情に直接触れて、施設の状況、雰囲気をより正確に掴み報告書にまとめ提出する作業をする。百聞は一見に如かず、そこから色々な物が見えてくることを実感している。
 
 「2005年にはロボットが高齢者介護」の新聞の大きな見出しに複雑な思いがよぎる。
そのロボットは「鉄腕アトム」のようにより人間に近づける計画だ、とも。
 
 QOLとは、人間の尊厳とは、人間はどこから来てどこへ行くのか。答えの出ない今も岡村ゼミで培ったしたたかさと、岡村没後17年経った今も脈々と続くAKIHIKOの会のメンバーとの不思議なつながりを今こそ大切に思っている。AKIHIKOの会を思うとき、「老いの手前にたって」芹沢俊介・米澤慧共著のあとがきに、米澤さんが述べておられる ──死は閉じることだが同時にかかわりを開くことのようにみえる──まさにこれだと、妙に共感を覚えるフレーズだ。
 
 
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「特養ホームを良くする市民の会」へのお問い合わせは
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 TEL&FAX 03-3358-9093
 Email: tokuyou@dream.com
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