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第23回AKIHIKOの会のご報告

フォト・ジャーナリスト長倉洋海さんの講演
「ぼくがみてきた戦争と平和」

 今年のAKIHIKOの会は2008年3月20日に開催しました。今回の特別講師は長倉洋海さん。同氏は静岡県立大学での公開シンポジウム「岡村昭彦の全体像に迫る」(2006.3)で 「岡村さんには生前一度しかあったことはありませんが、超えなければいけない大きな存在でした」と語られています。
 しかし、長倉さんといえば、世界の紛争地域、とくに私たちにとっては遠く視界に入らなかった大地アフガニスタンを20年にわたって取材されてきたフォト・ジャーナリストです。そのカメラアイは戦争の表層よりも戦禍・混迷の地に力強く生きる人たちにむけられたもので、ことに抵抗運動の指導者マスードや難民キャンプの少女ヘスースを長いスパンで撮らえられた作品は「右目でファインダーを、左目でそこに映らないものをみた」結晶として届けられたものです。今回の長倉洋海さんの講演は、AKIHIKOの会としても念願かなったものでした。
 長倉さんには、これまで世界各地で撮影した膨大な写真の中から選りすぐった80枚をプロジェクターを使って見せながら、戦争とは何なのか、平和とは何なのか熱く語っていただきました。
 講演に先立ち、昨年暮れから新年にかけて函館で写真展「岡村昭彦の軌跡」が開かれた経緯を、中心的役割を担われた北海道新聞社の植村佳弘氏から報告していただき、続いて静岡県立大学付属図書館で、岡村昭彦が寄贈した1万6千冊を一カ所に集め「岡村文庫」という部屋を設けたことなども含めて、岡村文書研究会の1年間の活動を静岡県立大学の比留間洋一氏から報告してもらいました。また懇親会では、慶応大学経済学部の春学期特別講座「いのちと社会(仮題)」で、ベトナム戦争に関連して岡村昭彦・小田実の活動に視点をおいた講座(6月・講師 米沢慧・吉岡忍)が予定されていることなどを高草木光一教授から紹介がありました。第一部講演会の参加者は71名。第2部懇親会52名。

ながくらひろみ氏の略歴

1952年、北海道釧路市生まれ。京都での大学生時代は探検部に所属し、手製筏による日本海漂流やアフガン遊牧民接触などの探検行をする。1980年、勤めていた通信社を辞め、フリーの写真家となる。以降、世界の紛争地を精力的に取材する。中でも,アフガニスタン抵抗運動の指導者マスードやエルサルバドルの難民キャンプの少女へスースを長いスパンで撮影し続ける。戦争の表層よりも、そこに生きる人間そのものを捉えようとするカメラアイは写真集「マスード 愛しの大地アフガン」「獅子よ瞑れ」や「サルバドル 救世主の国」「ヘスースとフランシスコ エルサルバドル内戦を生き抜いて」などに結実し、第12回土門拳賞、日本写真協会年度賞、講談社出版文化賞などを受賞した。2004年、テレビ放映された「課外授業・ようこそ先輩『世界に広がれ、笑顔の力』」がカナダ・バンフのテレビ祭で青少年・ファミリー部門の最優秀賞「ロッキー賞」を受賞。2006年には、フランス・ペルピニャンの国際フォトジャーナリズム祭に招かれ、写真展「マスード敗れざる魂」を開催、大きな反響を呼んだ。(長倉洋海HPより)
日 時 2008年3月20日(春分の日)
 第1部 講 演 会 14:00~16:15
 第2部 懇 親 会 16:30~18:30
場 所
 日本出版クラブ会館
●第一部講演会の様子
米沢氏植村氏
会を代表して米沢慧氏よりAKIHIKOの会の動きを離した北海道新聞社写真部の植村佳弘氏が函館写真展の様子を話す
比留間氏長倉氏
静岡県立大学比留間洋一氏が岡村文庫の話など活動を話した『ぼくが見てきた戦争と平和』を講演中の長倉洋海氏
長倉氏会場
映像を見せながら講演する長倉洋海氏今年も満席になったAKIHIKOの会
質疑応答
講演に続いて質疑応答は活発に行われた

●懇親会の様子
懇親会木村氏
懇親会の風景乾杯で昭彦著『1968年』の話をする恵泉女子学園学長木村利人氏
高草木氏木村氏
春学期特別講座の話をする慶應義塾大学経済学部教授高草木光一氏木村利人さんと「大和いのちを考える会」のメンバー
栗本氏細野さん
滋賀県大津市で岡村昭彦の理念を活かした精神病院を経営する栗本藤基氏岐阜から今年も駆けつけてきた前岐阜大学教授細野容子さん
加清さん岡村春彦さん他
挨拶する岡村昭彦義弟加清鍾(かせいあつむ)さん岡村春彦・山中光子・小野彰子の弟姉と孫の佐藤春花・岡村彩・佐藤名月さん
佐藤さん
佐藤純子さんからのメッセージを読む岡村昭彦の孫の佐藤名月さん